「塵(ちり)も積もれば山となる」という言葉がある。
金言というだけあって、まさに貯蓄のためにあるような言葉だ。
一般的な解釈に当てはめるなら、「わずかな金額でも積み重ねていけば、やがては大金が貯まり得る」といったところだろう。
ただちょっと問題なのは、これを「だからサボらずに続けろ」的な説教として捉えてしまいがちという点だ。
ここはもっとフラットに考えたい。
わずかな金額でも積み重ねていけば、やがては大金が貯まり得る。
それはつまり、一回ぶんの貯金額よりも回数を重ねることの方が重要、ということだ。
貯蓄を始めたばかりの頃に陥りやすい失敗パターンとして、ペース配分を考えずにいきなり目いっぱい倹約しようとしてしまう、というものがある。
これは言わば短距離走のペースで長距離を走ろうとするようなもので、無理があるのは言うまでもない。
そもそも、どんなに倹約を頑張ったとしても、収入以上の金額を貯めることはできないのだから、よほどの高収入でない限り、どうしても時間はかかる。
それなら、すぐに大金を得ようと無理をするのではなく、初めから長期的な構えで臨むべきだ。
むしろ、あえて時間をかけることで負担を希釈する、くらいのつもりでちょうどいい。