駅コレ№05:戸越銀座駅/旗の台駅/長原駅(東急池上線)

駅コレ


戸越銀座駅 IK03 2016年竣工

 旗の台駅 IK05 2019年竣工

  長原駅 IK06 2021年竣工


東急池上線「木になるリニューアル」

東急電鉄による、駅施設の木造改修プロジェクト。
木材の温かみのある駅空間の創出、地域の木材活用、環境負荷の低減を目的として池上線の駅で実施。建材には多摩産材などが活用されている。
今回鑑賞するのは、すでにリニューアルが完了した、戸越銀座駅・旗の台駅・長原駅の3駅。

1. 戸越銀座駅

「木になるリニューアル」第一弾。木造駅の趣を残したい地域の声と工事上の課題の解決策がうまくマッチした結果、旧駅の雰囲気を踏襲した現在のかたちに生まれ変わった。

ホームを包み込むような屋根は「シザーストラス」という構造。支柱を省いて広く空間を使えるうえ、幾何学的な架構とアーチ状のフォルムがデザイン上のアクセントにもなっている。

木材は多摩産材(あきる野市)と旧駅舎材を使用。旧駅舎材は地元の小学校や地域にも還元された。

2番線の北端に設置された銘板。ロゴは駅舎ファサードの三角屋根と「戸」の字を組み合わせたもので、“出合い”の「合」にも見えるようにデザインされた。
また、余白はリニューアルに際して寄せられたメッセージでびっしりと埋められている。(※写真はクリックorタップで拡大されます)

上段:蒲田方面のりば改札口。五反田方面が山型の三角屋根(下段左)であるのに対し、こちらはV字の谷型に見えるのがおもしろい。
下段右:駅を一歩出ると、もうそこは戸越銀座通り。関東一の長さを誇る商店街で、食べ歩きを楽しみたい。


2. 旗の台駅

もはや「木になるリニューアル」のシンボルといえる、シザーストラスアーチのホーム屋根。
建て替えに際し、駅としての機能を維持しつつ限られたスペースでの工事であったことから、人力でも運べる小部材を用い、既存の屋根の外側に組み上げられるこの構造が採用された。

構造をあえて露出させる、現し(あらわし)仕上げ。開放的でスタイリッシュなデザイン性が、駅利用者の気分をポジティブなものにする。

今はまだ新しいが、時とともに色味や風合いが変わってゆくのも木造の魅力。同じように人々の愛着も増していくことだろう。

2面2線の相対式ホームは池上線ではおなじみの風景。正対称の屋根にかっちりとした造形美がある。

旗の台駅には東口のほかに南口もあるが、池上線のりばに直結しているのはこの東口。こちらは上述の戸越銀座駅とよく似た構えになっている。


3. 長原駅

リニューアルのコンセプトは「ちょっときになる くらしのまんなか」。「木になる」と掛けているのがウマい。そのコンセプトどおり、木造のイメージを全面に出すのではなく、日常風景に溶け込む駅舎のワンポイントとして木材が用いられている。

既存の天井板を取り払い、代わりに木のルーバーを並べた鮮やかな構造。奥行きのあるルーバーと矢印状の蛍光灯が駅内へさりげなく誘導する。

比較的限られた木材の使われ方でありながら、木製ルーバーの存在感は大きく、しっかりとデザイン上のアクセントになっている。新駅舎のキーカラーであるモスグリーンの壁との相性も良い。

階段からホームまでを埋めるタイル張りの壁は改修前から継承されてきたもので、その緑色はキーカラーの基にもなった。
その一方、部分的にあった天井板は開放感を優先すべく取り払われた。無数の作業用マーキングがグラフィティアートのようにも見える。